こんにちは。ぬこです。
今回紹介する本は、私が3年前から、以後毎年必ず1度は読むようにしています。
タイトルは『一流の眼力、その養い方』。
たまたま入った、西国分寺駅内にあるオリオン書房で出会いました。本屋さんって素敵な出会いをくれるから好きです。
(もうこの本屋さんは無くなってしまったみたいです。ショックでかすぎ…)
今回は今までよりじっくり時間をかけて、レビューを書きました。
本も良書だと感じたので、ぜひ参考にしてみてください(^ ^)
「見る」とは何か。自分なりに考えてみて。
今回の本
内容
「ものの見方」については、過去の視線を再現してみることにも意味がある。新しい発見や発想が生まれてくることがある。老いたまなざしで昔を偲ぶのではなく「少年のまなざし」で、いまを見つめるのだ。人間は、「大人の心」「親の心」「子どもの心」の三つを大なり小なりもっている。「少年のまなざし」を、ときによって前面に押し出してみると、新しい発見が得られるのだ。
どんな人に読んでほしい?
- 考えることが好きな人
- 細切れの時間で読める本を探している人
- 毎年読みたくなる本を探している人
レビュー
調べてみると「見る」という漢字は、真新しいランドセルを背負った小学1年生が習う漢字だ。しかしこの言葉の持つ様々な意味を、深く考える大人はどれほどいるのでしょうか。
先日、ある総合病院に行きました。数ヶ月前から体調が悪かったからです。
CT検査もした結果、脳に異常は見当たりませんでした。体調不良の原因は、仕事によるストレスだろうとのこと。自宅療養していれば良くなるとわかって、ホッとしました。
しかしそれとは別に、私は担当した医者に、ひどく失望したのをはっきりと覚えています。
それはなぜか。
診察をしてくれたその医者は、一度たりとも私と目を合わせなかったのです!!
患者を前にして1度も患者を見ない医者は果たして医者と言えるのか…甚だ疑問。
医者の仕事とは何か。それは診察の「診」、すなわち「診る」ことだ。
そしてその仕事は突き詰めると、患者が診察室に入ってから出ていくところまで、しっかり見届けることとも言えるはず。
実際に、医者ではないが歴史上の偉人の1人である看護師のナイチンゲールは、次のように言っている。
「経験をもたらすのは観察だけである」
看護師の仕事とはこの場合、観察の「観」、すなわち「観る」ことなのだとわかる。
今回紹介する本には、まさにこういったことが例として挙がっています。
本書では、冒頭に挙げた「診る」のみならず、観察の「観」や視野の「視」など、多くの「見る」という意味の漢字をもとに、「見る」ことの大切さを追求します。考えさせられるテーマのように思えて、文章そのものは優しく、扱うテーマが多いのが印象的。
例えば、先の医者の例や、ファッション店の店員さん、車のディーラーの話から本屋さんの楽しみ方など。
これらの話は一見すべて関係ない事柄のように思えますが、話のテーマはすべて「見る」ということを中心に語られています。その話の軸が全くぶれないから、「そんな視点で考えたことないよっ」と思えるのも、またこの作品の魅力的なところ。
ガッツリ読むというより、むしろ読み物として読むことをお勧めしたいです。
ぬこの「まとめ」
「見る」という行動は極めて自然なことなので、本書を通して、気がつかなかった疑問や発見に遭遇すると思います。わずかなページ数で数時間考えちゃうこともあるかもしれません。電車内や夜中に読む時には注意してね。
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