33歳で肺がんで亡くなった人の日記を読んだ。
もともとブログで日記が書かれていた内容を、書籍にまとめたものが写真の3冊。
きっかけは、月イチで読みに行く東洋経済オンラインの特集ページで見かけたこと。
この記事を見て、亡くなられた奥山さんの日記を読んでみようと思って、図書館で本を借りてみた。
33歳がんで逝った男が投じた闘病記への重い一石 | ネットで故人の声を聴け | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
肺に水が溜まっていることが発覚し、その後も体調がすぐれないところ、検査をして肺がんだとわかってからの闘病の記録。
奥山さんはものすごく力強い人で、弱音を吐くことなく闘っていたのだと思う。
日記に書かないだけって可能性もあるけれど、読む限りではおそらくほんとうに闘い続けていたのだと感じる。
実際に「自分の生きていた証を残したい」という思いから小説を書き始め、出版した直後に亡くなってしまったのだから、その意志の強さが垣間見える。
12月の日記に新しくバッグを買った話があって、次のように書かれている。
来年はこのバッグがなるべく活躍できるように、温泉や出張やら取材旅行が少しでも多くできればいいなと思う。
そういう願掛けの意味でも、こういう買い物はうれしいのだ。クララが自転車を買うような感じ? ちょっと、違うか。
温泉や出張はできなかった。翌年の4月に様態が悪くなって生涯を閉じてしまう。
こういう本って、悲しさやつらさで一杯なように思える。けれどこの本はその真逆で、まるで隕石が大気圏で明るく燃え尽きるみたいにして終わるんだよね。命が終わる瞬間の光というんだろうか。
最期までホスピスに入ることを拒否し、東京で仕事を続けながら小説を書く。その姿は輝いていたと思う。
命を大事にしようとか、日々一生懸命生きよう、みたいな感想はもてなかった。
そんな感想が小さいくらいに、この3冊から伝わるものは大きかった。
「オレのことを覚えていてほしい」
日記の主軸のメッセージ。
出版されてから10年以上経ちますが、ちゃんと届いています。