樹木希林『一切なりゆき』を読みました。
感想
彼女の人生観、役者としてのあり方などが載っています。
名前と顔以外はあまり知らなかったのですが、まるで本人から直接お話を聞いたような、臨場感ある1冊でした。
永遠の課題
こんなはずでは……というのは、自分が目指していたもの、思い描いていた幸せとは違うから生まれる感情ですよね。でも、その目標が、自分が本当に望んでいるものなのか。他の人の価値観だったり、誰かの人生と比べてただうらやんでいるだけなのではないか。一度、自分を見つめ直してみるといいかもしれませんね。
(「『こんなはずじゃなかった』それでこそ人生です。」2016年6月)
誰だって、自分独自のものっないのだと思います。自分の考え方、趣味、命でさえ。ぜんぶ、誰かから一部譲り受けたものであったり、取り入れたものだったりします。
すると、「思い描いている幸せ」というのも、やはり誰かの影響はゼロではないでしょう。問題は、どれくらい影響を受けているのかというところ。
大部分が他人から拝借したものであるならば、自分にとっての幸せとはズレがあってもおかしくありませんね。
幸せとは目で直接見えない類のものなので、特にわかりにくいテーマでもあります。
すべての悩みは比較から始まる、なんてどこかで聞いた話ですが、本当にそうなのでしょうね。他人と比較しないで生きることがどんなに難しいことか。
これは永遠の課題です。
もっと自分本位になる
みんないずれ死ぬんだけど、死ぬまでに間に、残したくない気持ちを整理しておくといいですよね。会っておくとか、話しておくとか。
(「家族というテーマは無限大です。」2008年7月)
樹木希林さんは乳がんが全身に転移して亡くなりました。がんは宣告されてから死をまでに時間があることが多いですが、みんながみんな事前宣告されるとも限りません(それはそれでつらいけれども)。
当たり前ですが、いつ死ぬかわからないというのは特定の人にのみ当てはまるのではありません。これを読んでいる全員が該当します。
ですが、1日かそこらあればできることであっても「まだにしよう」「また今度にしよう」といって先延ばししてしまうことがありますね……。
機が熟すまで待つ、というのも1つのやり方ではありますが、そんなの関係なくただやったらいいじゃないの、ってことまで先延ばしにしてしまうこともあったりして。
そういうのは実にもったいないのかもしれません。
一度お茶したい人に連絡するとか、実は乗馬を体験してみたいとか、……やろうと思えばできることなのに、体裁を気にしたり予約が億劫でやらずにいたりする。
十分生きて自分を使いきったと思えることが、人間冥利に尽きるってことなんじゃないでしょうか。
(「全身がん 自分を使いきって死にたい」2014年5月)
「やったらいいじゃない」
「もっと自分本位になったらどう?」
「自分を使いきりなさい」
そんなふうに、本から聞こえた気がしました。
さいごに
樹木希林のあらゆる感性がギュッとまとまった内容だったと思います。
最近は生死に関する本ばかり読んでいます。
そういうタイミングなのかもしれません。
そういえば以前マヤ暦を調べたことがあって、僕の特性の1つに「あの世とこの世をつなぐ」とありました。ときおりそれが強く表に出るのかな?
なにはともあれ、『一切なりゆき』は僕に人生の基本を思い出させるような本でした。
みなさんもたまにはこういう1冊を読むのもありかもしれませんね。
ではまた。