うわぁ、こういう小説って大好きなやつ。
読み終わってそう感じました。
小説『レプリカたちの夜』を読みました。新潮ミステリー大賞を受賞しているのですが、ミステリーというか、なんなんだろうこれは……という感じ。複数のジャンルにまたがっているような作品です。
映画でいえば『ブレードランナー』とか『マトリックス』に似ています。文学ならフランツ・カフカや安部公房の作品に通ずるところが感じられました。
いずれも僕が大好きな「不条理」「幻想」といったキーワードをおさえている小説で、いやぁ本当におもしろかった。
動物レプリカ工場に務める往本がシロクマを目撃したのは、夜中の十二時すぎだった。絶滅したはずの本物か、産業スパイか。「シロクマを殺せ」と工場長に命じられた往本は、混沌と不条理の世界に迷い込む。
読み進めていくごとに謎が深まっていきます。後半になると謎が少しずつ明らかになってくるのですが、それにしたってなんともよくわからない雰囲気を残しつつもラストに向けて進んでいきます。
生命はどこからともなくわいてきたわけじゃない。物質から生まれた。生物も無生物も祖先はいっしょ。どうして区別する必要があるのかな。
これ、映画化したらおもしろいだろうなって思いますね。
この本を読んだあと、もう一度上に挙げた映画たちを見てみたくなったし、数年前に読んだ安部公房の『砂の女』を読みたくなりました。
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