感想『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』
努力しないといけないのか、ありのままの自分でいいのか…。
「なんでみんなは~とは感じないんだろう。自分が敏感すぎるのか…?」
例えば、人の集まり。
パーティーなんて論外です。同窓会にも行く気がしないのは、すぐに頭がパンクしてしまうから。頭のHDDはフル回転し、焼け切れる勢いです。その後疲れがどっと押し寄せてきます。
みさなんは、情報が一度に吸収しきれなくてパンクしてしまったこと、ないですか?
そんな経験をしたことがあったら、『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』という本には読む価値がありそうです。
私は本屋さんの心理学のコーナーで見つけましたが、本の帯に書いてある言葉に共鳴してしまいました。
『「交友関係は狭いが深い」「競争や諍いは苦手」「ゆっくりだけど深く考える」』
…ん、これ私自身です。(笑)
迷わず買って、2日間で読んでしまいました。なにせ自分にも共通する傾向が第3者に書かれているわけですから、言葉にはできない自分の感情や感覚が言語化されていて、いい読書となりました。
私と同じく、上記の3つに当てはまる方に向けて紹介したいと思います。
もっと鈍感になれたらいいのに。。
今回の本
<本の目次>
- 第1章 鈍感な世界に生きる「敏感な人」とは
- 第2章 「敏感な人」が抱えやすい心の問題
- 第3章 「鈍感な人たち」とうまく付きあうには
- 第4章 「敏感な自分」とうまく付きあうには
本書『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』は、「精神的にタフになる本」や「自分の意見をハッキリ言えるようになる本」ではありません。
程度の差こそあれ、繊細な心を持った人に共通する傾向と、そういう人たちがうまく世の中を渡り歩くために気をつけたいことに触れています。
また、著者が実際に行ったカウンセリングで出会った数々の事例の話が出てきますが、それを聞くと、「自分だけじゃないんだ!」「そういうときはこうするといいんだ!」と勇気をもらえる内容になっています。
こんな人にぜひ、おすすめしたい!
- いろんなことを警戒してしまって、結構疲れる体質…。
- 1人の時間がないとダメ。頭がオーバーヒートしてしまう…。
- 繊細な心で傷つきやすく、この世界が生きにくいなとさえ感じる…。
- でも自然とか、芸術に触れていると心が落ち着く。
- 哲学的な考えが好きで、じっくり深く考えるの大好き。
この5つの項目はすべて私に当てはまりますが、同じようなことをよく思っている方には、ぜひ一読をおすすめします。
なぜなら、それはあなただけではないし、その性格とうまく向き合えば「強み」に出来るからです。
「すべき論」に落とし穴アリ
敏感な人が心に抱え込みやすい問題の1つに、「自分自身に対して高度な要求をしてしまう」ということが多いと著者は言います。
「~しなければならない」「~すべき」といった表現を、無意識のうちに使っていませんか?
残念なことに、私が無意識に使っていると自覚したのはつい最近になってからです。
例えば仕事においては、こんな感じ。
- 高い目標を持って仕事をしなければならない
- 休みの日でもグータラせず、生産的な時間を過ごさなければならない
- 睡眠の質を上げるために、夜PCやスマホ、テレビは見ない。コーヒーも飲んではならない
この3つは、モチベーションを保つことができたマイルールなので、メリットもあったとは思っています。
しかし自分には高度な要求だったのか、そのせいもあってストレスが余計に溜まり、現在仕事を休職しています(復帰は思った通りにいかず、今月で4ヶ月目です)。
これに対し、仕事以外のプライベートではどうでしょうか。
いずれのルールもすべて、私は無意識のうちに、自分自身の意識に刷り込んでいました。
- 昼ごろまで寝ていてはいけない
- ボケーッとYouTubeを見ていてはならない
- スマホのゲームなんかやっていてはいけない
生活の質をある程度保つためにも、みんなそれぞれマイルールがあると思います。
ルールそのものを設けるのは間違っていないと思いますが、その程度や自分に向ける言葉には、注意したほうが健康的なのかもしれません。
自分自身に合わない高度な要求を突きつける、その理由は?
著者は、自分自身に高い要求を設けている多くの要因は、自尊心が低いことにあると考えます。
高い基準は自分の自尊心の低さを補う効果があり、自分を信じる力が弱ければ弱いほど、心はそれを取り戻そうと戦略を練るのだ、と。
自信と自尊心は同じ意味に聞こえますが、少し異なります。本の中ではこう区別しています。
自信・・・自分の能力と行動に対する信頼
自尊心・・・自分の内側に潜む芯の部分を感じ、自分の価値を信じる心
(引用:第2章 「敏感な人」が抱えやすい心の問題)
自尊心が高く、自信がない人はめったにいません。彼らは自分の価値を心から認めているので、成功体験を感じやすく、自然に自分に対して信頼の心が満たされます。
一方で、自信が高く、自尊心が低い人は意外にも多いのです。
職場を例に挙げると、仕事の要領を押さえている人は自信満々に仕事をこなしているように見えます。しかし実際は「本当にうまくやれているのかな...」「実は周りから嫌われているんじゃ...」と不安に悩まされていたりするものです(-_-)
このように、自尊心が低いと安心できず、心は不安定な状態が続きます。そこで自らに基準を設け、それをクリアしようと努力することで「大丈夫だぞ!」と自分に言い聞かせます。
しかし、理想とは完璧を好むもの。「ここまで出来ればOK」とはならないのです。「これで良い」と線引をすると、瞬時に理想と現実とのギャップを感じてしまい、さらなる要求を自分に突きつけます。これの繰り返し。。。
共感できてしまう人にはすでにわかっているでしょう。こういった考え方は繰り返しの思考なので、すぐにキッパリやめることできません。それこそ「理想」です。
これから先は本書に譲ります。きっとあなたなりのヒントが見つかると思います。
敏感な人はたいてい創造性にあふれ、すみずみまで考えを行き届かせることに秀でています。本に出てくるちょっとした話や言葉に、引っ掛かりが見つかるといいなと思います。
私は1度読んだだけではもったいないと感じているので、何度か読みながら自分のことをもう少し深く知れたらと思っています。
人生が変わる、なんて言うと大げさだと思いますが、不安になったときに頼りにしたい本です。
まとめ
「HSPチェックテスト」という、敏感さのテストシートが巻頭についています。
HSPとは、「Highly Sensitive Person(=敏感な人)」の略です。
このテストによって算出される値はマイナス52~140の間の数字になり、数字が高いほうがより敏感な体質であることを示します。私は「68点」でした。体感していた通り、比較的敏感な体質らしいです。
また、巻末には「HSPのためのアイデアリスト」として、「過度な刺激を受けたときにはどうするといいのか」といった、自分にエネルギーを与えてくれる活動をリストアップしてくれています。
これは大変参考になるリストで、実際に私が無意識にやっていたことも多く含まれていました。自分の心に良い習慣だったんだなと思うと、なんだか嬉しかったです。ちゃんと、自分のこと、ケアできているんだと、ちょっぴり自信がわきました。
万人受けタイプの本ではないのですが(もちろん読んで損はありませんが)、心の助けになってくれる人が1人でもいたらいいなと、心からそう思っています。
これから年末年始なので、まとまった時間がある人も多いでしょう。私は2日間で読み終えましたし、文字も比較的大きめで読みやすかったです。
年の締めくくり、あるいは年の初めに悪くない1冊だと思います。
ではでは~(^^)