『君は君の人生の主役になれ』を読みました。
10代に向けて書かれた本ですが、未だに悩み多き30歳の僕にも十分な読み応えがありました。
感想
これは良書でした。読んでよかったです。
語りは優しいですが、書かれている内容はきわめて真っ当です。学校教育のあり方、資本主義によるお金の流れ、生きにくさを生み出す親の存在など……。
読んでいて、僕は昔の自分を思い出しました。
昔むかしに心に突き刺さったドゲを何本も見つけたような、そんな感覚。
読んでほしい人
僕が本書をオススメしたい人は、
- 学校という小さく異質な社会に違和感を覚えた人
- 勉強について劣等感を抱いている人
- 親がキライな人
こんな人たちです。
読んでいてたのしくなる本ではありません。でもけっして後悔はしないと思います。
誰も言ってくれなかった、でも誰かに言ってほしかった。
そんな本だと思います。
概要
目次と、書かれている内容の要約です。
・第1章「学校に支配されないためのメソッド」
同調圧力の怖さ、社会へ適応することと引き換えに失う自信について。
・第2章「自分独特の世界を生きる」
恋愛のこと、社会に蔓延する差別のこと、善と悪について。
・第3章「親からの逃走線を確保する」
人生を阻害する親という存在について。
・第4章「お金で回る世界」
現代の資本主義社会の仕組みについて。
・第5章「勉強という名のレジスタンス」
勉強をする意味と、その価値について。
生きる実感を大切に
いちばん心に残ったのは、生きる実感についての語りでした。
僕はいま働いていません。社会から宙ぶらりんの状態。
正直言って、死にたいと思うことも多いです。いろいろとツライから。
あなたに一つだけ覚えていてほしいのは、あなたはとことん自分の生きる実感を大切にしたほうがよいということです。周りに歩調を合わせて「いい子」になろうとすることは、周りの人たちのためにはなるけれど、深いところで自分を支えてくれる根拠にはなりません。
いつも正解ばかり求めてしまうのは、生きている実感が足りないからです。実感が足りないから、その代わりに正解というまがいものにすがってしまうのです。
だからこそ、少しくらい一貫性がなくてもハチャメチャであっても面白く生きていった方がいい。著者の鳥羽和久さんはそう言ってくれています。
僕は、この一言がとてもうれしかったです。
就職のために履歴書を書きますが、なんと一貫性のないことか、と書いていて悲しくなってきます。
面接をうけても「なんでやめたの」「どうして次にここに行ったの」と、まるで尋問をうけているかのような質問ばかりです。そのように感じる僕にも問題があるのでしょうが……(^^;)。
少なくとも僕にはそのように感じられることがツラく、また悲しいのです。
でも、僕の人生は社会がOKを出してくれないと認められないものではないはずだ、と読んでいて思うことができました。
さいごに
もう一度いいますが、読んでいてたのしい本ではありません。もしかしたら忘れてしまいたい過去を思い出させる内容かもしれません。
けれど、先に述べたような「学校」「勉強」「資本主義」「親」といったワードにビクッとする気持ちがある人なら、そしてその心のトゲと向き合う覚悟があるのなら、手に取ると良いと思います。
僕にとってはよい本でした。
またしばらくしたら読み返そうと思います。
ではまた。