『この世を生き抜く最強の技術』という本を読みました。
著者は元自衛官で、心を病んだ経験をされています。
病んでしまう前にできること。病んでしまったあとにできること。
その両方がバランス良く書かれているように感じました。
病まない技術
本の中で語られているのは、おもに著者が心の病になったきっかけと、そこからどのように抜け出すことができたか、という話でした。
経験談とハウツーが書かれており、それぞれもまた病む前と、病んだ後についても整理されています。
内容ギッシリというよりかは、サクッと読めてしまう感じでした。広く浅くな印象。2時間で読み終わってしまったので、少々物足りない感はあったかな……。
良く言えば、シンプルにまとまっているということです。いまの自分にとって薬になる部分は網に引っかかりました。
読んでいて一番いいなと思ったのは、挨拶の話でした。
心の病と挨拶がどんな関係があるのか。全然関係ないと思いきや、いやいやまったくそんなこともなかったです。
挨拶の効用について
『第3章「一線越えてきたら撃ちますよ」の気概を持つ』から、挨拶はライフハックとして超重要という項目を見ていきます。
ここには、挨拶がどれほど大切なのか、自衛官として働く中での経験とともに語られていました。
著者は、挨拶には3つの効用があるといいます。
- 相手の存在を認めてあげる
- コミュニケーションを取りやすい人だと認識してもらう
- 自己満足
この中で、挨拶のもっとも強力な効用が「1.相手の存在を認めてあげる」だろうと思います。
人に挨拶をされてなんだか嬉しくなったこと。みなさんにも経験があるでしょう。
その嬉しさはどこから来ているかというと、きっとこの「自分の存在を認めてくれた」という喜びだと思いました。
僕の経験
本を読みながら、思い出したことがあります。
僕が適応障害になって6ヶ月間休職をし、それから復帰したときの出来事でした。
ものすごく仕事のデキる人がいて、社内では「〇〇さんが言うんなら……」なんていわれているくらい、信頼の厚い方でした。
仕事がデキることももちろん信頼される証拠ですが、それだけではありません。思い起こせば、いつも笑顔で挨拶する人でした。
僕がまだ復帰してから1ヶ月に満たないとき、定時であがった際に後ろから声をかけられたことがあります。
その人は喫煙所でタバコを吸っていて、僕との間には10mくらい距離が離れていました。
僕はそのとき別の方向を向いていたので気が付かなかったのですが、背中から「お疲れさま〜」と言ってくれたんです。振り向いたら、笑顔が見えました。
10m離れていて、しかも背中を向けていたのに挨拶をしてくれる。そのときの光景は、いまでも鮮明に覚えています。
そういう小さな積み重ねが、きっと社内での信頼感につながっていたのだろうと思います。
病んでしまう前にできること。
病んでしまった後にできること。
著者のわびさんは自衛隊時代、上司からひどいパワハラを受けて心を病んでしまったといいます。
そうならないためにも、心が折れる前に逃げろと語ります。
けれど、それを予め回避する手立てを複数もっておくことも重要ですね。
そして回避できなかった場合でも、次のステップに進むための姿勢とか、他者にサポートしてもらうための態度・礼儀も見過ごせません。
挨拶については、後者の礼儀にあたります。
上で「広く浅くだった」なんて少し悪い書き方をしてしまいましたが、要はそういうことです。
心を病んでしまう前にできることと、病んでしまったあとにできること。
その双方がシンプルにまとまっているので、読んで損をする本ではないと感じました。
さいごに
著者は本の最後にこういいます。
人生の究極の目標は「本来の自分であり続けること」。今は常にこの目標を掲げて生きています。
その目標に向かうためには、自分の「今の気持ち」に素直に生きることが大切だと思っています。
本来の自分であり続けること_。
次の言葉も、また別の人が言っていた言葉です。
他人があなたに望んでいるのは見栄とか高収入などではない。
あなたらしく存在していること。ただそれだけなんだよ。
あなた自身が他の人に対して同じように思っているならば、会社の人も、親も友人も恋人も、みなあなたらしく存在してくれることを求めているのかもしれません。
自分らしくあれるよう、病まない技術を身につけたいですね!
ではまた。