カフェにやってきた。
休憩したくてここへ来たのだが、どうしても気になるものがある。正面に座った男女2人組だ。
どこか気持ちが悪い雰囲気があった。
耳を立てずとも聞こえてくる会話を通して、あぁそうか、と納得してしまった。
ぎこちない。
気持ち悪いぎこちなさがあった。
女がずっと喋ってて、男はずっと聴いてる。女は喋りたくて喋ってる。それはまだいい。気持ち悪いのは男のほう。
彼は、気に入られようと必死なように見えた。彼の声、机に膝をついて口元あたりで指を絡める仕草。うーん……まるで好きな女の子を前にしたときの自分を見ているようだ。あぁ気持ち悪い。（笑）
どこか顔立ちも自分と似ていたし、同じようなメガネをかけていた。インテリぶってる感じも気に入らない。それと、なんというかこう……下心を隠そうとしながら虎視眈々とチャンスを伺っている雰囲気があった。気持ち悪いなぁ。自分も外から見たらこんな格好になってしまっているんだろうか。考えるだけで口の中が苦くなる。
そんなわけで、小さいカップに注がれた600円もするコーヒーを飲みながら、なんだか嫌なものを見せられた気分がしてゲンナリしてしまった。
それにしても気持ち悪かったなぁ。でも男の気持ちはわかるものがある。
逆にどうしたら良かったんだろうか。どうすれば気持ち悪くならずに済むんだろう。もちろん男が男を見たときの印象だから、相手の女はどう感じていたのかはわからない。でもいい印象は抱かなかったんじゃないかな。
これも単純に相性の問題なのかもしれない。
僕だってどんな女性であってもいつもぎこちなくなるわけではない。異性かどうかも関係なく、同性であっても相性の悪い人との会話は同じようにぎこちなくなりそうだ。
恋愛関係に限れば、たいていはその後ずっと一緒に暮らす人を選ぶことになる。そのためにもっとも大事なのは、相性だろう。つまり一緒にいてラクであること、窮屈でないこと。自然体でいられること。それに加えて尊敬できること。
自然体かつ尊敬。この2つがあると、パートナーとしての相性がいいように思う。
