村上春樹『アフターダーク』を読みました。
その感想。
1日で読み終えてしまいました。いつもはこんなことはなくて、たいてい1週間くらいかけてじっくり読むのですが。
この小説は、ある日の真夜中から日が昇るまでのストーリーです。時間の連続性が明確だったこともあり、勢いよく読み進めることができました。
僕が読んでみた感想ですが、著者の実験的物語のように感じました。
新たなチャレンジというか……言葉でどこまで描ききれるか、著者自らが挑戦してみたような作品。
そんなふうに思います。
受信アンテナが強風にあおられているように、画像は歪む。メッセージは寸断され、輪郭は痛めつけられて散逸する。カメラはその葛藤の一部始終を我々に伝える。
僕と浅井エリのあいだには透明なスポンジの地層みたいなものがたちはだかっていて、僕の口にする言葉は、そこを通り抜けるあいだにあらかた養分を吸い取られてしまう。
このあたりが、小説家としての強力な武器であり特技なのだなと感じさせます。凡人にはどうやっても描けないと思う。
”透明なスポンジの地層みたいなもの”なんて表現、どうやったら出せるのか……すごい。
舞台は眠らない都会の真夜中と、テレビ画面の奥に広がる異空間。特に異空間については挑戦的だったんじゃないかと思います。
ハルキストではないので詳しくはわかりませんが。(^^;)
今回は著者による実験的作品という印象なので、ストーリー的にはあまり面白みはなかったです。
これよりかは、最近読んだ『スプートニクの恋人』や『ノルウェイの森』のほうが面白かったかな。
今回も図書館で借りました。
同時に『風の歌を聴け』も借りたので、次回はこちらを読んで感想をまた書きたいと思います。
ではまた。