ポケモンヌードル。
スーパーで見かけるとたまに食べたくなってしまう。
食事をしていて「もう1品ほしい」というときにちょうどいい。
おまけで付いてくるステッカーも意外に楽しみだったりする。
お湯を注いで3分待つ。フタを開けると香りが広がって、僕は小学生のころを思い出した。北海道に行ったときの話だ。
1人で飛行機に乗った。北海道に単身赴任していた父に会うためである。
会うためといっても、実際は「来なさい」みたいなノリだった。飛行機に乗ること自体が初めてで、社会勉強だなんだと言われて無理やり乗せられた。なかなかのスパルタ教育だと思う。
無事に千歳空港に到着し、そこで待っていた父と合流した。
空港内(だった気がする)の鮮魚コーナーで売られているカニを見た。鮮魚コーナーのあの匂いも印象に残っている。そのあと父の住むアパートへ向かったのだが、途中立ち寄ったスーパーでポケモンヌードルを買ってもらったのだ。これも初体験だった。母との生活では食べされてもらえなかったから。
あのときも、当然おいしかった。
このしょうゆ味の香りをかぐと、今から20年以上も前の出来事がこうしてふわっと蘇ってくる。
このまえ実家に帰ったとき、押入れの中で昔の家族写真を見つけた。
不思議なもので、普段は母と弟の3人で暮らしていたのに、写真はどれも父が撮影したものだった。
母は写真を撮る習慣がなかった。キライだったのかもしれない。自発的にカメラを握ったところを見たことがなかった。
父は家に長期間いなかったこともあって、しばらく僕はどう関わったらいいのかわからなかった。
子供のころはそれこそ「親としてどうなんだ」と半ば責めるような気持ちを抱いていたが、大人になった今はいろんなことを感じる。好きで子供から離れたわけでもないだろうし。
写真にしたってそうだ。おそらく、休みを利用してわざわざ実家まで帰ってきたときに、たくさん撮影していたに違いない。
愛情にはいろんあ形があるのだと思う。あれは子供には理解できない形だったのかもしれない。
そうやって人は生き、思い出のリレーを続けていくのだろう。ポケモンヌードルをすすりながら、そんなことを考えた。
思い出のしょうゆ味は今日もおいしい。
また食べたくなったら買おうと思う。
ではまた。