恩田陸『木洩れ日に泳ぐ魚』を読みました。
タイトルも素敵だし、どんな物語なのかなと思って開いてみると。はあぁ、この本良かったわ〜ってなりました。
舞台はアパートの一室。別々の道を歩むことが決まった男女の最後の夜を徹し語り合う。初夏の風、木々の匂い、大きな端時計、そしてあの男の後ろ姿―。
最初はミステリアスな描写が続き、しだいに犯人さがしになり、いやいやこれは恋愛物語であったと気付かされます。
ほのかにざわめく胸騒ぎと、夜明けの窓を開けたときのような開放的な読後感がありました。
木洩れ日が綺麗。ここはまるで海の底みたい。魚が水面を見上げると、こんな感じなのかしら。
表現が美しいです。
恩田陸はこの表現が絶品ね。早く食べないと溶けてしまうような、ひんやりしててスッキリしてる。とても繊細でいて、一口含むと忘れられない味のような、そんな文章が詰まっていました。
いい本でした。
代表作『夜のピクニック』ももう一度読みたいなぁ。あと『ドミノ』もすごくおもしろかった。
近くの図書館にはないけど、取り寄せってできるのかな。今度試してみようと思う。
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