引っ越してきて半年が過ぎた。
これまで暮らしてきた都会とは打って変わり、田舎は空間が広くてすがすがしい。けれど、趣味の写真ではどうかというと、これがあまり芳しくない。
何を撮ったらいいのかわからなくなっている。
空に浮かぶ雲、そこに横切っていく鳥、遠くに見える雪をかぶった山々など。撮る対象はいくらでもある。写真仲間からも「自然豊かで被写体にも恵まれて羨ましい」などと言われた。
たしかに自然は豊かで気持ちがいい場所なのは事実だが、今まで撮ってきた環境と大きく違う。そこがうまく慣れていかない。
単純に歩かなくなったというのもある。田舎は車社会だ。
車で通っていて「ここいいかも、今度カメラを持って散歩しよう」なんて思ったりもするのだけれど、近くに車を止める場所がないと、その今度はなかなかやってこない。
そうはいっても、都会と違った田舎の良さは、確実にある。
僕は今まで、たとえば道路の横に雑に置かれた植木鉢とか、ビルとビルのすきまから見える青空とかをよく撮っていた。
田舎ではそういう景色が見られない。空間が広すぎて、ある景色を区切っているフレームというか、枠がない。ただだだっぴろい空間がドーンとあって、そこをカメラでどう切り取ろうかと考えるけれど、どこに向けても同じような写りになってしまう。面白みに欠けていて、工夫の余地があまりない。
もちろん、場所による。ただ、都会なら一駅いけば風景がガラリと変わったりもするのに、田舎は空間が広い分、遠くに行かないとあまり風景の変化が見られない。ここが難しいところだと感じる。
写真を撮るのはたのしい。それだけはたぶん、どこに行っても変わらないと思う。
下のリンクを見ていたら、フィルムの色合いいいなぁって思い始めた。
フィルムのランニングコストに耐えかねてやめたけど、じっくり景色と時間に向き合うのは、とっても贅沢だった。
フィルムライカいいな~。