風景画がたくさん載っている本を手にした。
1日1枚ずつ、絵画とそれにちなんだコラムを読んでいくようになっている。けれど僕は、パラパラとめくって好きな絵を眺めてたのしんだ。
文章はぜんぜん読んでいないが、絵は見るだけでもたのしい。
趣味で写真を撮っているので、構図の参考にもなった。
以下、気に入ったうちの何枚かを載せておく。
構図がよい。主役が上の4分の1ほどしかない。下部右下からのびる足跡が、絵に動きを与えている。
僕だったら、縦構図で足跡と人、そして空に抜けるようにカメラを構えてしまいそうだ。それもいいかもしれないが、このような横構図で主役をわずかしか写さないというのは、勇気とセンスが求められそうだな。
少女のたたずまいが良い。憂鬱そうにみえる。けれど、周囲には白い花が咲き、右上から左下にかけて光が降り注いでいる。
今はトンネルの中を歩んでいるような感覚かもしれないが、この先は明るいのだと思えてくる。
このような額縁構図はけっこう好き。
2本の木で風景を挟んでいるが、この木の位置取りがとても上手い。右の木が邪魔くさいように思えなくもないが、背景にある赤い屋根の家が目立っており、うまくバランスが取れている。
遊歩道に人が並んで散歩している風景もまた、穏やかで心地いい印象を与えている。
これはすごくいい。
写真ではこのような表現はできないと思う。つまり、写真ではもっと緻密に写りすぎてしまってダメだ。この、まるで夢に出てきた光景をあとで思い出したときにイメージされるような、淡くてボヤッとしている光景。とても素敵。
奥へ引き込むような構図が好きなんだと思う。
この絵はさらに、色の調和が美しいと思う。冬のキンと冷えた川の色と、そこに映える建物のオレンジ色。
左の4本の木が、個人的にはちょっと邪魔な気がする。2本でいいかな。でも4本にしたおかげで、川から建物へ伸びる導線に勢いが生まれたと感じる。
こんな場所に行きたい。
写真に撮るときも、これと同じように写すと思う。焦点距離にして50mmかな。あるいは75mm。
絵画から、水のながれる音が聞こえてきそう。
本の中で、この絵がもっとも好き。
上のわずかなスペースに覗いている空が、あるのとないのとでは雲泥の差。実際に指で隠してみると、その差がハッキリわかると思う。急に眠くなるような風景になってしまう。
周辺減光が活きている。そこにまっしろな白鳥の姿が輝いてみえる。今にも動き出しそう。
長野県に引っ越してきて半年が過ぎた。
これらの絵のような風景の場所もあるんだろうな。カメラとスケッチブックを持って、暖かくなったら探しに出たい。