この本、すっごくよかったです。
毎日更新の別ブログで、何度か紹介しました。
とても大人な短編集。官能的とか憂鬱とかではなくて、なんかこう、歳を重ねれば重ねた人ほどわかる本って感じがする。
4月16日 - 10年先を思い出して。
『日暮のあと』を読み終えた。 縁側に座って、雨の降る石庭を眺めているような。そんな感じのする短編集だった。しっとりとしてて良かった。
4月17日 - 10年先を思い出して。
【印象に残った話】
・アネモネ
金子将太は、毎晩女装をせがんでくる彼女に苛立ち首をしめてしまう。夜が明け、花束を持って警察署に出頭する。
・白い月
夫が亡くなり、喪中はがきを作る。印刷所で完成品を受け取った帰り道、午後の空に白い月が出ていることに気がついた。
・日暮れのあと
少年が恋したのは、64歳の風俗嬢だった。
堕ちるだけ堕ちた、と悲観した。悲鳴をあげそうなほど、毎日が孤独だった。だが、多くを求めず、自分を受け入れて懸命に働き、思っていたよりも早く借金を返せるようになると、気持ちが次第に落ち着いてきた。このまま、働ける間はこの仕事を続けたい、と思うようにもなった……。
タイトルにもなっている「日暮れのあと」は、最後の文章がとても美しかったです。
「過ぎてみれば、全部、どうってことなかったような気もするの。それどころか、楽しかったかもしれない、って。そう思えるのは、私が年をとったせいなんだろうけど」
表紙の写真もまたとても良いです。
写真家の長田果純さんの作品だと知って、写真集を買いました。運良く古本で見つけることができてラッキー。