3年ブログ

3年間続けようと思い、現在8年目になりました。ネコ派ですが、最近ゴールデンレトリバーが可愛いくてしかたないです。

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雨の降る石庭を眺めているような感じ。「日暮れのあと」

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この本、すっごくよかったです。

 

毎日更新の別ブログで、何度か紹介しました。

とても大人な短編集。官能的とか憂鬱とかではなくて、なんかこう、歳を重ねれば重ねた人ほどわかる本って感じがする。

4月16日 - 10年先を思い出して。

 

『日暮のあと』を読み終えた。 縁側に座って、雨の降る石庭を眺めているような。そんな感じのする短編集だった。しっとりとしてて良かった。

4月17日 - 10年先を思い出して。

 

【印象に残った話】

・アネモネ

金子将太は、毎晩女装をせがんでくる彼女に苛立ち首をしめてしまう。夜が明け、花束を持って警察署に出頭する。

 

・白い月

夫が亡くなり、喪中はがきを作る。印刷所で完成品を受け取った帰り道、午後の空に白い月が出ていることに気がついた。

 

・日暮れのあと

少年が恋したのは、64歳の風俗嬢だった。

堕ちるだけ堕ちた、と悲観した。悲鳴をあげそうなほど、毎日が孤独だった。だが、多くを求めず、自分を受け入れて懸命に働き、思っていたよりも早く借金を返せるようになると、気持ちが次第に落ち着いてきた。このまま、働ける間はこの仕事を続けたい、と思うようにもなった……。

 

 

タイトルにもなっている「日暮れのあと」は、最後の文章がとても美しかったです。

「過ぎてみれば、全部、どうってことなかったような気もするの。それどころか、楽しかったかもしれない、って。そう思えるのは、私が年をとったせいなんだろうけど」

 

 

表紙の写真もまたとても良いです。

写真家の長田果純さんの作品だと知って、写真集を買いました。運良く古本で見つけることができてラッキー。

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