こんな悲観的なことを言った、ある小説家がいました。
「ぼくの人生は、自殺したいという願望を払いのけることだけに、費やされてしまった」
(引用:はじめに より)
彼の名は、フランツ・カフカ。
『変身』の著者と言えば、わかる人も多いでしょう。
ある朝、目が覚めると虫になっていた、という奇抜な設定で有名です。
今回は、そんなカフカの知られざる一面を教えてくれる、1冊の本を紹介します。
タイトルは、『カフカはなぜ自殺しなかったのか?: 弱いからこそわかること』。
見つけたときはすぐ買って読み始めました。
こういう本を求めていた!
「なんで生きてるんだろう」みたいな面倒な考えによく激突する人へ。カフカは自殺しなかった。
今回の本
昨年のクリスマス後にこの本を読み始め、年が明けた日に読み終わりました。
今回の本のテーマや内容は、読んで「あ〜おもしろかった」で終わってしまう類のものではありません。
繰り返し考え、あらゆる方向に思考が飛び散っていきます。それもあって、感想をまとめるのにも時間がかかりました。
本題に入る前に、少しカフカ自身について触れてみましょう。
カフカとはどういう人なのか
まずはじめに、カフカとはどんな人物なのでしょう。
3つのポイントで簡単に紹介します。
『変身』の著者
ある朝、目が覚めると虫になっていた、という奇抜な設定で有名です。
私はまだ読んだことがないので、近いうちに読んでみるつもり(^^)
他には『審判(訴訟)』『城』といった作品も人気なようです。
働いたら負け。ニートの模範生!?
最初から仕事=やりたくないものと決まっていたようです。
自分はネガティブだと思っている人には、すんなり理解できそうです。彼にとって、仕事なんてストレスの塊にしか見えていなかったのでしょう。
大学卒業後、とりあえず努力するも就活はうまくいかず…。結局コネを使って職を得ます。
仕事を得たところで、働きたくない気持ちはMAX。
カフカは仕事のことを「パンのための仕事」と読んでいたそうです。
人生ずっと、生き苦しかった
彼はいつも自殺を望んでいたというのです。
私を含め、名前を知っている程度の人はこの事実を知りません。
彼の日記や手紙には「自殺」のワードが何度も登場します。
しかしながら、カフカは自殺を選びませんでした。病気で亡くなっています。
フランツ・カフカ…なかなか、変わった人だと思います。
この中では、個人的には「パンのための仕事」がツボです。(笑)
まぁ、ごはん食べなきゃ生きていけませんからね。しかたありません。
さて、本書のテーマは「カフカがなぜ自殺をしなかったのか」ですが、著者の意見や経験などは最初と最後くらいで、ページのほとんどはカフカ伝になっています。
カフカの人生を追い、そこから読者一人ひとりが自由に感じ、考えられるように構成されています。
私は読み終わってから、カフカの経験をなぞるように、いろいろ考えてみました。
すべて無にしたくなるような、あの感覚
自殺した作家といえば、日本人だと芥川龍之介や太宰治が思い浮かびます。
彼らがどうして自殺をしたのか、考えた人も多くいるのではないでしょうか。国語の授業で考えたり、そういった内容の本を読んだり。
また自殺に対しては、最近では過労死やいじめ問題が注目されています。
自殺とは、思った以上に身近な問題です。
例えば、毎朝必ずどこかの電車が遅延する。そのたびに、ふと思ったりします。誰かが決断したのかな、と。
私も、働いていたときは月に1度は自殺を考えていた気がします。
休職している今だって、考えることもたまにあったり。
自傷行為などは実際ないですが、何もかもが嫌になる瞬間が、何の前触れも無くやってきます。
すべて無にしたくなるような。あの感覚には独特の拘束力があるのです。
外出して、お散歩でもすれば気分は晴れてきますが、言うは易し行うは難し。
それでも、生きている以上、どうにか豊かに生きられないだろうか。
そのヒントが、カフカの人生から感じ取れた気がします。
豊かに過ごせる場所を、カフカは見つけた
悩み苦しんでも気分は晴れません。
カフカは普通に生きていくことに苦しんでいましたが、病死で亡くなる数年前、彼はある素晴らしい場所に出会います。
その場所とは、マリーエンバート。
チェコにある温泉保養地で知られ、過去にはゲーテやショパンといった偉人たちも訪れていたそうです。
カフカはここで20日間ほど過ごし、晴れやかで爽やかな日々が続いたと言っています。
自殺願望がある人が言っているくらいなので、素晴らしい場所だったんですね。
私にとっての、心地いい環境
自分にとって、心地よいと感じる環境ってどんなところなんだろう…
ちょっと考えてみましたが、思いのほかすぐに思い浮かびました。
「自然の感じられるところ」です。
昨年には、高尾山と奥多摩に行きました。
そして今日は、近所に流れている川をボケーッと眺めました。
私は川が好きです。せせらぎの音が、なんとも心地良いのです。
きれいな鳥がいたので写真を撮りました。でも近づくのが難しかったので、ズームするしかなく…画質はちょっとザンネン。
カメラはミラーレス一眼を持っているのですが、一眼レフより小さく軽いとはいえ、常に持ち運ぶというのはなかなか難しい。
コンデジ欲しいな~と思った今日このごろです。
カメラはともかく、私はこうした自然を感じられるところで暮らしたいなと思いました。
自分にとって心地良いと思える環境、そして力が発揮できる仕事に出会えたら、これにまさる喜びはないでしょう。
自殺したくなる気持ちもわかりますが、こう考えていると、まだなんとかなりそうだと思えてきますね。
この本を読んでから、どこか気持ちが安定してきたような気がします。
ぬこの「まとめ」
みなさんは、年末年始はどう過ごしましたか?
どんな年にしたいかを手帳に書いたり、ブログやfacebook等に、やりたいことリストをアップしたり。
私は、生と死について、また自分のことについてあれこれ考えて過ごしました。そんなスタートを切った2017年です。
今年一発目の記事投稿になりましたが、みなさん今年もよろしくお願いいたします。
*<前編>はこちら。