若返る。
この言葉を聞くといつもモヤっとします。
それは褒め言葉なのか?
以前、とある歌手のインスタグラムを見ました。
自身の更新に対し「どんどん若返ってる!」というコメントがたくさん寄せられています。
そのコメントは明らかに褒め言葉でしたが、一方で、そもそもどうして「若返る」は褒め言葉になっているんだろうと疑問に思ったのです。
たとえば電車の広告でも
マイナス5歳肌!
10歳若返る!
といった表記を見かけます。
美容クリニックだとか、書籍の宣伝とかでもね。
この「若返る」という言葉が良いとされるのは、やっぱり若くありたいという気持ちが広く一般的だからだと思いました。
でもそれって、裏を返すと、つまり歳を取るのは残念だという認識があるってことですよね……。
執着はよくない
似た言葉に「若くありたい」という表現がありますが、これとは似ているようで違うと思います。
たとえば、最近の流行りについて。
若い人のあいだで流行っている音楽を聴いたり、同じようにテレビ放送されているアニメを見ている人は、たしかに若々しいです。
でもそれって、自身の認識、頭の中の世界を広げ、常にフレッシュに保っていたいという気持ちの表れだと思うのです。
若返るというのは、フレッシュな状態という意味での若々しさを保つのではなく、若い頃に戻りたいというような、執着のように感じます。
これがなんだか残念だなぁというか、なんで?と思ってしまいます。
どんな生き物も歳はとるのだから、それに従ったらいいのに、って。
健康でありたい、というのはわかるんですよ。身体に自由が効くのは誰だってありがたいことだから。
僕がモヤっとするのは、時間の流れに逆らった執着の心が垣間見えている姿。
そしてそれを求める人にアプローチする商材です。
歳を取るって、そんなにイヤ?
僕としては、むしろ「歳を取るってすばらしいんだよ」って背中で語って欲しいんだけどな。
若い人には老人を敬う気持ちが欠けてきているし、老人には若い人に教え聞かせるだけの覇気が少ない人もいる。
歴史は繰り返すとは言うけれど、若い人と老人との関係性が戻っていくことがあるのだろうか。パワハラ等、悪しき習慣は取り除いた上で。
きっと難しいんだろうなぁ。
白髪が混ざってていいいと思うし、肌にたるみが出てくるのは当然だと思うけどね。
そんなことより、老人には老人なりの楽しさ、美しさというものがあると思う。
執着とこだわりは違うのだから。
若返るという言葉が褒め言葉のままだと、きっと誰も得しないよ。
年寄りにはツライ言葉だろうし、若い人たちも「この状態は失われていくんだ」という事実に耐え難く感じ、結果執着につながるのだし。
美容クリニックや若返りのコツについて語る書籍などは、結局お金がもうかればそれでいいと思っているのかなぁ。そういう世間の仕組みも残念だよね。
人は必ず死ぬし老いていくのも当たり前。
そんな人生では何が大事なのか。
自然の流れにまかせて、心地よくありたいものだな。
と、思いました。