「空中都市」という小説を読みました。
図書館で別の本をレンタルしたとき、リサイクル資料箱に入っているのを見かけたので救出。最近は小説を読むようにしているのでラッキーでした。
感想
この「空中都市」は、母と娘の成長が描かれています。互いに作用し合うというより、どちらかというとそれぞれが自分の課題に向き合い、人として成長していく感じ。
読み終わって思うのは、小説って、やっぱりいいなぁってこと。
遠い昔、一緒に早朝の町を歩いたことがあった。24時間営業のドーナツ屋に入って、本当はそこで告白するつもりだったのに、心のなかにある思いとは正反対のことを言ってしまった。なつかしい。
こういう出来事って、現実にもあると思います。けれど、なかなか直接聞くケースはありません。
小説だとその中で生活している登場人物から話が聞けて、そのときどんな心情になったのか、どう感じてその後どうなったのか、というのを知ることができます。
人は、矛盾した生き物だといいます。
本音とは違うことを言ってしまったり。あとから思えばなんでそんなことをしたのか検討もつかないことをやってしまったり。
そうした複雑な心模様は、他人に伝えるのも難しいはず。
でも小説はそれが言語化されているので、自分自身の感情を理解しやすくなるし、それはそのまま他人にも当てはめることができると思います。
小説家ってすごいですよね。
物語を構築できるのもレアなスキルだと思いますが、それ以上に、掴みどころのない感情を言語化するのが得意なんですね。
ほんとにすごいなと思います。
さいごに
この本で良かったところ(複雑な感情をうまく言語化していくれている箇所)を紹介して終わります。
☆ひとりになる重要性
ひとりになってみなければ、わからないことがある。仮にそれが「わからなくてもいいこと」であっても、あるいは「わからない方がいいこと」であっても、どうしてもひとりになって、そこまで行ってみなくてはならない、そういうこと、そういう場所があるんだと、今はそのように思えてならない。
☆自分を理解するために、必要な後悔というのがある。
失われてしまったものの大きさに打ちのめされながらも、最初にもどってやり直す。そうすることでしか、人は自分を理解できない。
後悔だけはしたくない。若い頃は私も、そう思っていた。でも今は違う。後悔しなくてはならないのだ。後悔こそが大切。後悔に後悔を積み重ねて、人は強く、優しくなっていく。
自分を理解するために、必要な後悔というのがある。
☆中途半端は良くない
何かを失うのであれば、徹底的に失わないといけない。
中途半端に失うと、人は一生、その喪失を引きずることになる。
小説、今後もまだまだ読んでいこうと思います。