マンガ版のショーペンハウアー「自殺について」を読みました。
僕自身の生きづらさの裏側には「生への過度な期待」があるように思っていたのですが、そのままの内容が語られていました。
素晴らしい本だと思います。
辛い時には哲学を
この本、とてもよかったです。
マンガという形態は気軽に読みやすくていいですね。原著に比べてずいぶんと要点を絞っていると思うので、メッセージがわかりやすいです。
生きようとする「意志」が強すぎる人ほどなぜか自殺する。
強く生きたいにもかかわらず、だ。
これって矛盾してないか?
お守りとして本棚に入れておいてもいいなと思っています。
読んでいて思ったこと
死を欲するメカニズム
どんなときに人は死を選ぶのか。
おもに2つ描かれていました。
①絶望が勝ってしまったとき
マジメに物事に取り組まないと気がすまない人は、強い刺激がないと満足できない。だが十分な満足が得られない状態が続くと、しだいに生への絶望が死の恐怖を上回ってしまい、自殺を選択してしまう。
②生きようとする意志が暴走したとき
人が「死にたい!!」と思ったとき、生きようとする「意志」が姿を表す。正常な判断を狂わせて思い切った行動を導いてしまう。それが自殺である。
あぁわかる、と思ってしまった。どちらも自分に重ねても違和感がない……。
だから、読み終わってみてある意味安心しました。
メカニズムがわかったならば、意識して回避できるはずだからです。
人生に対する期待を捨てる
自殺を未然に防ぐためには、意志の存在を知ることが最も適している。
夢、志、目標、希望、理想。
それらを明確に自覚し、それに忠実な人間ほど絶望を凌駕する意志の存在に気づくべきだ。
「夢、志〜」のコマには、俳優とか歌手とか、そういう輝かしい人たちが描かれています。
実際にそうした著名人にも自殺される人はいて、ニュースでも取り上げられますね。そうじゃないいわゆる一般人の場合はニュースにならないだけですが。
人には人生で成すべき「命題」がある。
「生」を超越すること。「意志」からの解脱である。
生きようとする意志を捨てること。これが究極の命題だ。
自殺してしまう人たちの中には、夢や希望といった人生に対する期待が強すぎたケースが多いのかもしれません。僕が自殺するとしたら、それだろうなという気がしています。
期待どおりにいかないこと。
期待を裏切られること。
どうにかして、うまい具合に生きる意欲を削り取りたいんですよね。削るのか、方向転換なのか……表現はわかりませんが。
本書でいう生きようとする意志というのは、人生に対する期待のことなのかな、と思いました。
さいごに
この本は図書館で借りました。
ページを開くと、一枚の紙がペラっと落ちました。拾い上げると、どうやら僕の前に本書を借りた人の貸し出し本リストのようでした。
本書「自殺について」のほかに、「明日、学校へ行きたくない」「10代から知っておきたいうつ病」といったタイトルが並んでいました。小中学生な気がします。ツライ毎日を送っているのかな……と思ってしまいました。
その紙を見ていると、その人が死んでしまったら悲しいと感じました。
自分がこんな本を読んでいるのを棚に上げて。無責任な感情です。
でもなんだかこう……身近に死にたいというSOSを発した人がいなかったので、身を持ってこういう感情になったのは初めてです。ちょっと動揺しています。
マンガ自体はよかったです。原著に比べて雑だ、というレビューも聞きますが、マンガなのでそれは当然で。
むしろ原著への橋渡しとしてうまく機能するのではないかと思っています。
まずはマンガからどうぞ。
ではまた。