久しぶりに転職サイトにログインしたら、まるで池にエサを放った瞬間バシャバシャと慌ただしくなる鯉のようにメールが飛んできた。電話まで来るし、メールが何通も。
僕はキャリアコンサルタントの勉強をしていたけど、もっと基本的なところで、自分がされてイヤなことは人にはしたくない人間だ。転職エージェントに就職しようと考えた時期もあったし、今も再び無職になってしまったので、やはりそっちの道なのかもしれない、なんて思ったけど……やっぱりありえないと感じた。
第一に、人を見ていない。転職者のことをちゃんと知らずに、転職エージェントや採用企業は連絡をつけてくる。そういうやり方なのだ。
特に大きな転職エージェントではマニュアルができており、1人で月100人くらい転職されるらしい。業界に詳しい人に聞いたから数字は正しいと思う。
マニュアルに従い、担当者が”当たり”が入っているかもしれない群衆に向かってとりあえず連絡をする。返答があって初めて「で、この人どんな人?」となる。
順番が違うだろう。非常に気に食わない。
ここで妥協できるかどうかが、仕事と割り切れるかどうかのラインであることも知っている。先の業界に詳しい人に相談したときも、「ここで割り切れるかどうかだよ」と言われたから。そのときからすでに、ムリだな、と思ったのだった。
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転職エージェントに限らずだが、人々はどうしてこんなにもガツガツしていて、忙しなくしているんだろうか。僕はそういう生き方からは離れたい。けれども一方で、お金を稼ぐにはそうした忙しなさに身を捧げなければならないのではないか、と思ってしまう。ここに、僕の苦しさの源泉が湧き出ている。ドボドボと、真っ黒な苦しみが心のなかで湧き出ている(実家に油田が湧き出ていたら今ごろは働かなくてもよかっただろうに)。
お給料は、妥協しないといけない。それでもいいから、自分が自分でいられる環境で働きたい。でも、そのようにして働いたことがないので怖くて仕方がない。夢物語なのではないか、お給料を妥協したせいで惨めな気持ちになるのではないか、……考えだしたらキリがない。「でも、でも」という言葉で四面楚歌になっている。どんな未来を思い浮かべたって、「でもさ、」「だってさ」って。
あぁ、どうしてすんなりと前へ進めないんだろう。僕はこうやって朝起きてから夜寝るまでの間うなりながら考えているし、実際に働きだしてみては血だらけで戻ってきている、そうやって行動だってしているのに。泣きたい。「こんな自分は認めない」というような強固なプライドがあるので実際には泣かないが、その壁の内側を察するに、とても弱々しいすすり泣きが聞こえてくるようでならない。
みなさんに聞きたい。
どうして仕事が続いているんですか。人生のほとんどの時間は仕事に費やしているのに、やっていてつらかったり、職場にいてつらかったりするにも関わらず、そこで働き続けられるのはなぜですか。お金のためですか。お金のためならば、そんなつらさは乗り越えられるものなんですか。