大学生時代からずっと就職活動が苦手だ。
どうしてこれほどまでにイヤなのか、考えてみた。
そもそも、自分は必要とされていない。これに限ると思う。
まるで呼ばれてもいないパーティーに「来たよ〜、入れてくれる?」って言うみたいに感じてしまう。
企業から呼ばれていないし、招待もされていない。そこへいきなり突撃するのが就職活動だと感じていて、たまらなく辛くて苦しい。
それは思い込みであると、一応はわかっているつもり。
実際に、企業は自ら求職者のところへはやってこない。仕事をしたい人が、企業に近づいていく。もともとそういうシステムなのだ。
たまに転職サービスなどでオファー機能というのがあって、企業から直接求職者へ声をかけることができたりもするが、基本的には求職者が企業へ働きかける。
けっきょくどちらが先に声をかけるか、というただそれだけの話だってことは、頭ではわかっている。
けれど、ダメ。
この「お呼ばれしていないのに出向く」というスタイルがもうダメ。耐えられない。やっていてとても気分が悪くなってくる。
自己肯定感が低いのだと思う。
自分は存在していて良いだとか、価値があるだとか、そういう考えが根底から欠けているんだろう。
だから、価値を見いだされてもいないのに「私はこんなことをやってきました、私にはこんな価値があります」と主張することができない。心の底から吐き気がしてしまう。
履歴書を書くだけでヘトヘトになる。封筒に会社の宛名を書くだけで気分が悪くなってくる。
面接の帰りには、身体の真ん中に大きな岩でもあるのかってくらい鈍重に感じる。面接中に自己アピールをして、自己嫌悪になるときもある。
上辺だけの会話。
求職者は自分のいいところだけを表現し、企業は知られたくない事実を隠そうとする。
両方ともウソつきだ。
こんなのキライだ。大嫌い。
でも、背に腹は代えられない。だから履歴書を書く。企業に送付する。面接にも行く。
自分でお金を生み出す才能のない人間には他に成すすべもない。仕方がないのだと言い聞かせて、今日も履歴書を書いた。
いつまでこんなことが続くんだろう。
僕はきわめて真っ当な人間だと自分では思っている。年上の人ともコミュニケーションが取れるし、言われたことは責任を持ってやる。誠実に働く姿勢があるというのに。
でも、誰からも声はかからない。「来てくれ」「手伝ってほしい」だなんて誰も言ってこない。
一応転職サイトには登録していて、たまにスカウトメールが来る。
だけれど、あれにはとても腹を立てている。こちらは「こういう職種は希望しません」と明記しているのに、それを平気でシカトして「ぜひ我社で」としゃべりかけてくるからだ。
人間扱いされていない気がしてくる。たいへん気に食わない。
それでもやっぱり、働かなくてはいけない。
で、けっきょく自分で探し、求められてもいないのに「あの〜すみません」って近づく。
貯金が尽きるか生気が尽きるか。
僕にとっての就職活動は、文字通り命を削る行為になっている。