購読しているブログで紹介されていた本です。
『虐殺器官』、これはなかなかのSF小説でした。
虐殺器官というタイトルが気になりますね。これは、「人間には互いに潰し合うという本能がある」という仮説のことです。
心臓や胃のように、それは器官として人間の中にもともと備わっており、私はそこをくすぐって刺激しているだけなのだ。テロリストであるジョン・ポールはそう言います。
そして、「これは我々の大切な人たちを救うための尊い行いなのだ」と主張し、大量虐殺を繰り返すのです。その理由は本書を読んだ人だけのお楽しみ。
読み終わってみて、いやぁエグいなぁ……と感じました。
ジャンルとしてはSFです。光学迷彩スーツとか、地面の状況に応じて靴底が変化するブーツとか、男の子が好きそうなアイテムがたくさん出てきます。
ただ、本書のテーマでもある虐殺と、それを正当化するテロリストの論理がまた……かなりリアルで、正直「わかるかも」という気持ちになってしまいました。
この本は、先進国の人たちにしか読めないんじゃなかろうか。
いずれにしても、『虐殺器官』は日本を代表するSF小説の1つに必ず数えられる名作でしょう。
このようなフィクションを構想し、書き上げられる人の頭はどうなっているのか。お勉強ができるとか、仕事ができるとか、そんなんじゃない別の天才なのだと思います。