3年ブログ

3年間続けようと思い、現在8年目になりました。ネコ派ですが、最近ゴールデンレトリバーが可愛いくてしかたないです。

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ウィキペディアを使った授業?『初年次教育における論文の書き方指導を考える』に行ってきた

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成城大学で開催されたシンポジウム『初年次教育における論文の書き方指導を考える』に参加しました。

15:00〜18:30 まで続き、3人の登壇者による議論も白熱して終わりました。

わたし自身は論文も書きませんし、書類をつくる職についているわけではありませんが、興味があったので行ってみました。

今回はその感想です。

イベント概要

公開シンポジウム『初年次教育における論文の書き方指導を考える』

〈登壇者〉

  • 石黒圭 氏(国立国語研究所 所属)
  • 飯間浩明 氏(三省堂国語辞典 編纂者)
  • 安部達雄 氏(お笑い芸人「米粒写経」サンキュータツオ)

3人の登壇者がいます。本記事ではそれにならって3回にわけて、一人ひとりの話をきいた感想や考察を書いていきたいと思います。

ウィキペディアを作ってみる

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100人くらいの参加人数でした

1人目は石黒圭 氏でした。国立国語研究所教授、一橋大学教授です。

講演では、「法学部の初年次教育における論文の書き方指導」についてお話していました。「ピアレスポンス」というゼミ形式での授業を実践し、大学卒業時には論文の展開構造をしっかり理解できることが目標なのだそう。

おもしろかったのは、「ウィキペディアを作ってみる」という内容でした。

論文やレポートを書くときは、必ずと言っていいほど「ウィキペディアは使うな!」「引用としてNG!」と言われます。ところが、このウィキペディアの記事の作り方が、論文における引用のやり方をトレーニングするのにピッタリなのだそうです。

学生をやる気にさせる

そこで石黒圭先生の授業では、学生にウィキペディアのページを作成させることを課題にすることにしました。まだウィキに載っていない項目を探すのも一苦労のようです。

ある学生は授業を途中で抜け出し、キャンパス内にある胸像をかたっぱしからウィキで調べていったのだそう。「胸像になるほどの有名な人物なはずなのに、まだウィキに載っていない者がいた。この人物について書けばよいのではないか」。この学生の考え方に対し、教授はなかなかの知恵者だったと言います。

ウィキペディアを使う授業も興味深いですが、法学部の授業ということもあり、ほかには「“歩きスマホ防止法”などの法案をつくってみる」「金正恩とドナルド・トランプ、いずれかの立場に立って議論する」といった授業もするのだとか。いずれも学生には高評価で、教員としては「学生が自らやる気になるようなテーマを設定することが大事」なのだそう。

参加者のなかには教員も多数いたようなので、とても参考になる話だったのではないかと思います。

大学の意味

他者をどうやって納得させるか、自分の主張に対する反対意見にどう対処するか。こういったスキルは、社会人になってからさらに重要になってきますよね。

最近ではTwitterで「大学には行く意味がない」という内容の意見をたびたび目にします。

大学は、専門的な学問をつきつめる場です。だから、学んだことが社会に出て役に立たないこともあるのですよね。これは日本の大学のよくない面かもしれません。

わたしは大学で数学・物理学を学びましたが、仕事は建設系の職業につきました。今は建物内の配管ルートを検討しCADソフトで描いていく仕事をしているので、学んだことは1mmも役に立っていません...。「こうなってしまうのが普通だ」とは思いませんが、学んだことそれそのものが重要というよりも、他に大事なことを学ぶ場でもあります。

  • 知らないことをいかに早く効率的に学ぶか
  • 目上の人にお願いごとをするときのコツ
  • 相手の意見を受け入れつつ、自らの考えを述べる方法


これらに加えて、専門的に学んだことを活かすのが一番理想的ですが、高校まででは体験しない学びが大学には広がっているのも無視できないポイントです。「大学には行く意味がない」とは簡単に言い切れないと考えます。

だからこそ、上記のようなポイントをもっと学ぶべきだったのではないかと、講演をききながら反省しました。^^;

さいごに

本来はこのシンポジウムについて、この記事のみで完結させるつもりでした。しかし学んだこと、考えたことがたくさんあったイベントでしたので、複数回にわけることにしました。

今回参加をきめたきっかけは、飯間浩明先生のツイートです。

次回は、この三省堂国語辞典の編纂者である飯間浩明先生の講演に触れていきます。

辞書をつくっている人の話なんて、なかなかリアルでは聞けません。話し方などは「たしかに辞書を作っている人っぽいな」と思う場面がありました。(笑)

それではまた。