買った日は、たしか会社をやめる手続きをした帰り道だった気がする。
自分を変えたくて、でも変われそうになくて、そんな心持ちのまま家に帰りたくはなくて、本屋さんに行った。
そこで3冊くらいまとめ買いして、そのうちの1冊がこの本だった。
感想
ダンスミュージックのグループ「AAA」のメンバーの書いた本。
芸能人だからキラキラした人生を歩んでいると思ってたけど、どんな人でも大変なことってあるんだなぁと感じた。
むしろ、自分と大きく違うからこそ、人生という同じテーマに対して視る角度が違った。
この本のよかったところは、著者の苦労話で終わらずに、ファンじゃない読者でも共感して読める点。
「僕は芸能人だけどこんな大変なことがありました。でも乗り越えました」というような、よくありそうな内容ではなかったです。
どうせ忘れる
大体の失敗なんて、自分自身も周りの人も、時間が経つとともに忘れていくものだ。
この言葉は、これから転職先で新しい仕事が始まるという僕にとって、とてもいい話だった。
著者はけっこうな行動力のある人で、「思い立ったらすぐ行動」タイプ。行動量の多い人はいちいち失敗に気を止めないのだろうけど、僕のような「石橋を叩きすぎて渡らない」タイプの人は、わりと失敗を引きずる傾向がある。
時間が経てばどうせ忘れます、という上の言葉は、新しい環境で生活が始まった僕にはすごくよかった。最初のうちは失敗だらけだろうし。
というか、初出社から2週間経ったいま、すでに失敗しているので余計に救われている。(笑)
メンタルヘルスの重要性
著者の心の拠り所となっている柱の1つに、メンタルヘルスの概念がある。
これはアメリカへ留学したときに、現地で衝撃を受けたようだ。というのも、あっちではたとえばカウンセリングを受けることは全然普通だし、自分の身は自分で守る文化なため、自ずと国民一人ひとりが心のケアを大事にして生活しているのだという。
著者はそんな文化に触れたことがきっかけとなって、心の健康を保つ重要性を知ったのだという。
この本のなかでも、けっこうな割合でメンタルヘルスにつながる話が出てくる。
たとえば自分の気持ちを紙に書き出す「ジャーナリング」だったり、朝の20~30分の散歩が悩みのほとんどを解決するという話が紹介されている。
さらには、美容に気を遣うことだって、彼のなかではメンタルヘルスのためという側面があるらしい。お肌にハリがあると、自信が出てくるのだと話す。
たしかにそうだろうな〜と新鮮な気持ちで思った。
僕は男だからか、いままで美容についてはあまり気にしてこなかった。けれどこの本を読んで、さっそくAmazonで洗顔フォームを注文した。すでに届いてから1週間くらい使っている。
頬の毛穴が開きがちで、いまはそれを治したいと思っている。
性別に関係なく、お肌がきれいな人は魅力的だ。肌がきれいになれば、たしかに気分もよくなるだろうと思った。
迷ったときの合い言葉
本の先頭のほうで出てくる話。
僕はこれが一番心に残った。
誰しも、死ぬときは一人だ。自分に対してアレコレ言ってくる人たちが天国まで付き添ってくれるわけじゃないし、死んで時間が経てばみんな自分のことなんて忘れてしまう。
新しく何かが始まるときほど、いつか死ぬことが救いに思えてくる。
なぜなら日々不安との戦いになるし、少しの失敗がその後の大きな過ちへとつながっているんじゃないかと思えてきてしまう。
そんなとき、「なにがどうなったってどうせ死ぬじゃん」という一見投げやりな気もするこの考え方は、僕にはとても有効な思考法としてフィットした。
著者も、次のように言っている。
冷めているわけでも、悲観しているわけでもない。
「死ぬときは一人だ」って、僕にとっては前向きになれる言葉で、判断に迷ったり、悩んだりしたときの拠り所のひとつになっている。
死ぬことを意識していれば、悩みをいつまでも引きずってしまうのを軽減できそうに思える。また、やりたいことに進んで手を伸ばすきっかけを与えてもくれる。
僕は最近、陶芸をやってみたいと思った。理由はよくわからないが、ねんどを指先で整える感覚を想像したらワクワクしてきた。
さっそく調べると、車で行ける範囲に陶芸教室があることがわかった。日程の問題などもあってまだ予約できていないけど、やってみたいと考えている。
いつ腕を失うかわからないし、いつ腰を痛めて長時間座れない身体になるかわからない。
やりたいと思ったことは、やれるうちにやったほうが良いのだろうと思う。
さいごに
一般的なビジネスマンが書いた自己啓発本ではない。それがよかった。
自己啓発本って「全員オレみたいに生きろ」とか「私みたいに生きれば幸せになれますよ」みたいな内容が多くて、僕はそれがちょっとキライ。
でもこの本は少し違う。書き方が上手なんだと思う。アーティストという、普通の人たちに思いを伝えることを仕事としているからなのかもしれない。
すべての生き方は正解で不正解、というタイトルもいいね。あるのは自分にとっての正解と不正解があるだけだから。
この本から、自分にとって正解のものだけを取り入れたら良いと思う。著者の與真司郎さんも、たぶんそれを意識して書いている気がする。
とにかく、けっこういい本でした。
また読書したら感想を書きます。
ではまた。